川島研究室ホームページ : 過去の研究
ホーム
(Home)
現在の研究
(Study)
過去の研究
(Review)
発表論文
(Papers)
スタッフ
(Staff)
授業関係
(Lecture)
機械工学科
(ME Home)
神奈川工科大学
(KAIT Home)

 


過去の研究活動 : Review



海洋における敷設管の動的挙動(1981年度〜1989年度)
 海洋温度差発電(OTEC)は、海表面近くの太陽に暖められた温かい海水と海面下500〜1000mの冷水との温度差を利用して発電する方法です。したがって陸上に設置されるOTECプラントにおいては、冷水取水管(CWP)を海底に敷設することが大きな問題となります。そこで、浮きをつけられ設置場所まで海上を曳航された管において、浮きを順次切断されたときの沈下挙動(文献1)、および、管端を塞ぎその浮力により設置場所まで曳航された管に海水を自然に流入させたときの沈下挙動を明らかにしました(文献2)
 また、バージ式の海上プラントにおいては、波浪により不規則振動する浮体からつり下げられた長大な管の応答が問題となります。特に、浮体の上下運動による管の不安定振動が問題です。そこで、管を関節管に近似し、鉛直方向に加振される管の安定性と応答を明らかにしました(文献3〜6)。この研究は、深海のレアメタルなどの鉱物資源を採取するための長大なライザー管を設置するときの問題解決にも役立つものです。

水中回転弾性アームの位置決め制御(1987年度〜1996年度)
 水中ロボット用マニピュレータは大きな流体抗力を受けるため、速やかな動きを実現するには弾性を考慮する必要があります。そこで、水中回転弾性アームの位置決め制御システムを開発(文献7)しました。加えて先端に物体を把握する場合の制御システムも開発(文献9)し、それらの有効性を実験により実証してきました。
 また、アーム固定端における最大応力を軽減するため、アーム先端に取り付けられたスラスタを駆動源とすることを提案、スラスタ駆動式水中回転弾性アームの位置決め制御システムを開発(文献10)、さらにスラスタの動特性を考慮した場合について(文献13)も開発してきました。加えて流体抗力などの非線形性を正確にモデル化するため、スライディングモード制御と最適制御を併用した制御システム(文献14)、非線形モデルオブザーバ(文献15)を開発しています。

中立浮力式水中アームの位置決め制御(1990年度〜現在)
 浮遊式の小型水中ロボットにおいては、マニピュレータを動かすとその反動によりロボット本体が動いてしまい正確な作業ができないという問題があります。そこで、移動用スラスタとアームを協調制御することを提案、中立浮力式水中アームの位置決めシステム(文献8)を開発、さらにスラスタの動特性を考慮した場合について(文献12)も開発してきました。
 また、スラスタが周囲の流体を乱すことによる作業性の低下を抑えるため、スラスタの代わりにカウンタアームとリアクションホイールを用いて反力を打ち消すことを提案、位置決め制御システム(文献11)を開発しました。

倒立振り子の安定化(1987年度〜2000年度)
 メカトロニクスにおける制御システムの基礎研究として、倒立振り子を対象に最適制御、ファジィ制御、ニューラルネットワークによる制御システムを開発、比較検討しました。
(文献:川島、倒立振子による新しい制御法の比較、神奈川工科大学研究報告第15号)

ガスジェットパルスによる不安定構造物の安定化(1993年度〜2003年度)
 巨大地震で塑性変形した構造物の倒壊を、ガスジェットを噴射することで遅らせ、中にいる人々の避難時間を確保することを目的に、圧縮空気をパルス状に噴射することで倒立振り子を安定化させる制御システムを開発、実験によりその能力を確認しました。(文献19)

仮想振動台に関する研究(1996年度〜1999年度)
 耐震装置の開発には実際の地震動を再現することのできる3次元振動台が不可欠であります。しかし大きな3次元振動台は少なく、自由に使える状況にはありません。そこで技術革新が目覚ましいパーソナルコンピュータに注目し、構造物の揺れのシミュレーション結果をヘッドマウントディスプレイ等により自由に体感できる仮想振動台を開発しました。

心地よい振動に関する研究(1990年度〜現在)
 振動というと抑えなければならない厄介ものというイメージがありますが、心地よい振動も存在するはずです。そこで、「1/f ゆらぎ」をキーワードにどのような波形の振動、揺れが心地よく感じられるか研究しています。この研究は心地よいヒューマン‐マシンインターフェイスの開発にも応用できるものです。
 まずロッキングチェア駆動装置を開発していろいろな種類の波形を体感し、SD法による因子分析、脳波などを利用してどのような波形でロッキングチェアを駆動すれば心地よく感じられるか調べました(文献18)
 さらに心地よい揺れの提供を目指して、生理現象(心拍ゆらぎ)をフィードバックすることで個人個人に合った波形を創出し、それに合わせて駆動力を変化させるアクティブロッキングチェアを開発しています。(文献21)
また、旋律が「1/f ゆらぎ」となる音楽を自動で作曲するシステムを構築し、揺れと音楽との相乗効果も調べています。
これらの研究成果は下記の講演会で発表されています。

◯ 川島豪、心地よい揺れに関する研究(第3報:1/f スペクトルで揺らぐ揺れと音楽の相乗効果)、
 第7回環境工学総合シンポジウム講演論文集(1997-7)、pp.81-84。

◯ 川島豪、心地よい揺らぎと脳波に関する研究、
 第9回環境工学総合シンポジウム講演論文集(1999-6)、pp.38-41。

◯ 古屋友和、川島豪、心地よい揺れと心拍ゆらぎに関する研究、
 第10回環境工学総合シンポジウム講演論文集(2000-7)、pp.78-81。

◯ 川島豪、心地よい揺れと心拍ゆらぎに関する研究(心地よさ度の提案)、
 第11回環境工学総合シンポジウム講演論文集(2001-7)、pp.78-81。

心地よさのインターネット伝送に関する研究
 インターネットの普及により、ネットに接続されたいくつものコンピュータが身近に存在するユビキタス社会が実現されつつあります。しかし、相変わらず日本においては住まいと職場が時間的(距離的というより通勤に時間がかかるという意味において)に離れており、幼児を抱えながら仕事をしようとする若い世代の親は幾多の困難に遭遇することになります。このことは出生率の低下にもつながり、しいては社会保険制度の崩壊の遠因ともなっています。これを解決するためには、福祉・介護の分野における研究・開発が重要なことはいうまでもありませんが、実際に働いている人に生活しやすい環境を提供する研究・開発も必要不可欠です。そこで本研究では、幼児を抱えながら仕事に通う親と幼児がインターネットを介して仮想的につながることで安心感を提供し合うシステムを提案しています。その1例として、インターネットを介して親の心拍情報を保育園や実家にあずけられている子供の枕(人形)に送り親の心拍リズムを再現することで幼児に親の存在感を身近に感じてもらうとともに、インターネットを介して送られてきた幼児の心拍情報を腕時計型の心拍リズムシミュレータで親に伝えることで安心感を持って働いてもらうシステムを開発しています(文献30)